人材不足時代の施設管理を支える「維持管理BIM」とCMMSの可能性
近年、建設業界ではBIM(Building Information Modeling)の活用が急速に広がっています。しかし、その多くは設計・施工段階での活用に留まり、竣工後の維持管理フェーズにおいて十分に活用されているケースはまだ多くありません。
一方で、日本の不動産・施設管理業界は今、大きな転換点を迎えています。人口減少による人材不足、施設の老朽化、建設コストの高騰、そして脱炭素社会への対応。こうした課題に向き合う中で、既存ストックの価値をいかに維持・向上させるかが経営テーマとなっています。
本記事では、維持管理BIMとCMMS(設備保全管理システム)の連携がもたらす新しい施設管理のあり方について解説します。
国内のオフィスストックは約1.5億平方メートルに対し、年間の新築供給はその2%にも満たないと言われています。今後の不動産価値向上は、新築開発だけではなく、既存建物をいかに長く有効活用するかにかかっています。
しかし、多くの施設管理現場では以下のような課題が存在します。
・ベテラン担当者への依存
・設備情報や図面の散在
・紙やExcelによる管理
・修繕履歴の属人化
・建物ごとに異なる運用ルール
・事後対応中心の保全業務
・DX化の遅れ
これらの課題は単なる業務効率の問題ではなく、建物の資産価値そのものに影響を及ぼします。
ストック活用時代に求められる施設管理
国内のオフィスストックは約1.5億平方メートルに対し、年間の新築供給はその2%にも満たないと言われています。今後の不動産価値向上は、新築開発だけではなく、既存建物をいかに長く有効活用するかにかかっています。
しかし、多くの施設管理現場では以下のような課題が存在します。
・ベテラン担当者への依存
・設備情報や図面の散在紙やExcelによる管理
・修繕履歴の属人化
・建物ごとに異なる運用ルール
・事後対応中心の保全業務
・DX化の遅れ
これらの課題は単なる業務効率の問題ではなく、建物の資産価値そのものに影響を及ぼします。
設備の位置や仕様、過去の修繕履歴、保守点検記録などを3Dモデルと紐付けることで、建物全体を可視化しながら管理できるようになります。
例えば、
・空調設備の位置確認といった業務を、図面を探すことなく直感的に実施できます。
ここで重要なのは、
「BIMを作っただけでは業務は変わらない」
ということです。
実際、多くのBIMプロジェクトが維持管理で定着しない理由は、業務システムとの連携不足にあります。
施設管理では日々、
・保守点検
・工事管理
・ワークオーダー
・クレーム対応
・エネルギー管理長期修繕計画
これらの業務情報がBIMと切り離されていては、現場は結局Excelや紙に戻ってしまいます。
そこで必要になるのがCMMSです。
CMMS(Computerized Maintenance Management System)は、設備保全や施設管理を支援する管理プラットフォームです。
BIMとCMMSを連携させることで、
① 設備情報の一元管理設備台帳とBIMを連携することで、
・設備仕様などを一元的に管理できます。
② 保守・点検業務の効率化現場担当者は設備の位置や関連機器を即座に確認できます。
図面確認や現場調査の時間を大幅に削減し、保守業務の効率化を実現します。
③ 長期修繕計画の高度化修繕対象設備や工事箇所をBIM上で可視化することで、
・更新計画を戦略的に行えるようになります。
④ クレーム対応品質の向上問い合わせや不具合発生箇所をBIM上で把握することで、
・状況確認の迅速化につながります。
実証された業務改善効果
実際の検証では、図面確認が必要な業務において20〜30%程度の業務削減効果が確認されています。
業務 改善率
新規契約業務 31.2%
解約業務 24.3%
設備点検管理 23.3%
メーター交換管理 32.0%
などの成果が報告されています。
これは単なる効率化ではなく、人材不足時代における持続可能な施設運営の基盤づくりと言えるでしょう。
これからの施設管理に必要な視点
維持管理BIMとCMMSの組み合わせは、単なるDXツールではありません。
それは、
・人に依存しない施設
・運営データに基づく経営判断
・資産価値向上
・予防保全によるコスト最適化
を実現する経営基盤です。
今後、老朽化施設の増加や人材不足が進む中で、「建物をつくるBIM」から「建物を育てるBIM」への転換が求められています。
維持管理BIMとCMMSは、その変革を支える重要なプラットフォームとして、施設管理の未来を大きく変えていくでしょう。